「サルコペニア」という言葉を聞いたことはありますか?サルコペニアとは、加齢とともに筋肉量や筋力が減少することを指します。「頻繁につまずく」「立ち座りがしんどい」「ペットボトルやビンの蓋を開けるのがやっかい」「重たい荷物を運ぶのがしんどい」などは、もしかするとサルコペニアになっている可能性もあります。
サルコペニアになると、転倒や骨折・認知症・糖尿病などのリスクが高まり、さらには、要介護や死亡のリスクも高めるとされています。しかし、一般的に「年をとると筋肉が減るのは当たり前だからなぁ~」と思われる方もいるのではないでしょうか?実際に普段の生活の中で運動などに取り組んでいないと、40歳頃から毎年1パーセントずつ筋肉量は減少します。
75歳から79歳のサルコペニア有病率は約2割、80歳代では男性で約3割、女性は約5割にもなります。ですから、早いうちから意識をすることで、筋肉量や筋力の減少を緩やかにすることは可能です。
主なサルコペニア対策は「運動」と「栄養」です。今回は「運動」についてご紹介します。
効率よくサルコペニアを予防するためには、下半身を中心とした筋力トレーニングが有効とされます。実は、筋力トレーニングは何歳からはじめても、適切な方法で継続することができれば、筋力を向上させることは可能です。
実際に要介護高齢者を対象に、1時間程度の運動を1週間に2回、1年間続けることで5.5パーセント増加したという研究報告もあります。では、具体的にどのような運動をすれば良いのでしょうか?取り組みやすい事例を紹介します。
1.椅子に座ったままで膝伸ばし運動
椅子に座った状態で片方の膝を伸ばし8秒間保持しましょう。この時、つま先をすね側にしっかり引き上げることで力が入りやすくなります。可能であれば左右5回ずつ続けてみましょう。
2.椅子に座ったまま足踏み運動
椅子から落ちないように気を付けながら、腕を振り、太ももをしっかりあげて足踏みをします。目安は3分程度ですが、息が切れそうな場合は無理をせず、時間を短くしたところから始めても構いません。慣れてきたら少しずつ時間を増やしましょう。
3.椅子からゆっくり立ち座り運動
普段、何気なく行っている動作もゆっくり行うことで筋力トレーニングになります。4秒かけてゆっくり立ち上がり、ゆっくり座る運動に取り組みましょう。
膝や腰に痛みがある場合や、力が入りにくい時は、膝やテーブルを押さえながら行っても同様の効果があります。
椅子の座面を高くした状態から行うと関節への負担が少ないので、痛みのない方法から始めましょう。可能であれば連続5~10回行います。ちなみに「栄養では」肉類や魚類、乳製品、卵、大豆などタンパク質の摂取が効果的です。 ただし、タンパク質以外にも炭水化物や脂質など、その他の栄養素もバランス良く摂ることが大切です。